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【志村作品ファンが集結】11月12日(木)追加舞台挨拶オフィシャルレポート

11月12日に新宿バルト9で行われた映画「どうにかなる日々」の追加舞台挨拶。

この日はアニメ制作に関わったメンバーでありつつ、同時に「志村貴子作品の大ファン」でもあるメンバーが集結。
登壇したのは、しんちゃん母を演じたキャストの白石涼子さん原作担当編集の上村晶さん、そしてポニーキャニオン・寺田悠輔プロデューサーの3名。
この顔合わせならではの、志村貴子作品の魅力に迫ったディープなお話がたっぷりと聞ける時間になりました。

──「どうにかなる日々」のアニメができるまで

まずは、「どうにかなる日々」がアニメ化された経緯について。
寺田プロデューサーが上村さんのもとを訪れたのは2018年の夏頃とのこと。
上村さんは当時の印象を「20年近く前の作品を映像化したいという熱意のある若者がある日突然やってきたんですけど、作品をすごく理解してくださっているという印象を受けました。これまでも映像化の話はなくはなかったのですが、これはすごくいい予感がする!と、志村さんにすぐ伝えたのを覚えています」と振り返ります。

寺田プロデューサーは笑いながらも、「最初のタイミングで、佐藤(卓哉)監督のお名前も伝えさせていただきました。この作品との相性はすごくいいだろうなと思っていたので」と続けました。合わせて、原作のすべてのエピソードをアニメ化するのは難しかったので、3~4編に絞り、その共通コンセプトを「かつて一緒にいたけれど、今はもう遠くに行ってしまった誰かを思い出す話」として提案したと明かします。

これを受けて、上村さんは「志村さんが好きなエピソードも拾っていただいて、さらに、それをつなげるコンセプトを作ってくださったので、これは映画としてまとまりがよくなると思いました」とコメント。


「どうにかなる日々」 ©志村貴子/太田出版

また、白石さんは実はメインキャストのオーディションにも参加していたそうで、その際に「今、アニメ化するんだ!?」とびっくりしたそう。残念ながらオーディションには落ちてしまったものの、しんちゃん母役として出演が決まって「大好きな先生の作品の一部になれたことが、すごくうれしかったです」と語りました。

過去に志村先生の他作品がアニメ化された際には出演が叶わなかったという白石さんは、「きっとアニメのキャスティングって、いろんなバランスとかタイミングとかもあると思うので、私は母に出会うべくして出会ったんだなと。(原作の発表から)約20年経った今、年を重ねた私だからしんちゃん母が演じられたのかなと思って、運命を感じますね。むしろ母になるために、私はずっと声優を続けてきたのかなと思っています」と感慨深げ。

「どうにかなる日々」 ©志村貴子/太田出版

「でも、母役ってそんなに経験がなかったので、正直不安でした」と言う白石さんに対して、「母親らしさもありつつ、ちょっと“元ギャル”みたいな雰囲気が垣間見えていて、すごく魅力的な芝居でした」とフォローを入れる寺田プロデューサーでしたが、逆に白石さんが「ギャル感ありました?本当?どこに!?」と笑う一幕も。

ちなみに、白石さんの妹さんは本作の主題歌・音楽を手掛けたクリープハイプのファンでもあり、公開初日に映画を見に行かれたとのこと。そこから「しんちゃんのその後が知りたい」と作品の中身が気になった妹さんは、公開1~3週目の入場者プレゼントである「原作・志村貴子描き下ろしスペシャルリーフレット」をすべて揃えた上で、「お姉ちゃんのお母さんは安心感あったわ」と白石さんに連絡してきたそうで、その心温まるエピソードに会場からは大きな拍手が起きました。

完成した映画に関して、「原作のコマの間合いとか、空気感とかがすごく再現されていて。でも、全てそのままやっているわけじゃなくて、コマとセリフを微妙に調整して入れ替えたりされていて、アニメスタッフの皆さんの匠の技だなと思いました。見終わった後の印象が、読み終わった後の印象と同じようにしてくださっているのを感じましたし、志村さんも『愛情の深い皆さんに作ってもらってよかった』と感謝されていました」と感想を語る上村さん。

そして寺田プロデューサーからは、この日来られなかった佐藤卓哉監督からのメッセージが紹介されました。


はじめて志村先生の作品に触れたのは10数年前。
以来、簡単に正解・不正解を決められない(決めてはいけない)心の領域と向き合い、
あくまで優しい筆致で描き続ける姿に勝手に励まされてきました。
そして今回の「どうにかなる日々」制作を通じて、志村さんの作品の魅力、大切さと難しさを誰より理解し、
共に並走されている上村さんの存在の大きさも垣間見れた気がします。
今の僕は志村先生と上村さんのことを『とっくに遥か先を走っている先人たち』の1人に思えます。
「どうにかなる日々」を作れて光栄なだけでなく、ひと息ついて、初心に帰り、未来の事を考える、大きなキッカケにもなりそうです。
またお会い出来る日を楽しみにしています。ありがとうございました。

──「敷居の住人」が志村作品との出会い

ここで話題は「どうにかなる日々」だけでなく、志村先生の他の作品にも及びます。
白石さんが最初に出会ったのは志村先生の初連載作品である「敷居の住人」とのことで、
「何がそんなに衝撃的だったんだろう?と思ったら、たぶん志村先生の描かれる絵なんですよね。色合いとか、描き込みすぎない感じとか、セリフもあまり長く書かない感じ。全部の会話をさせないけど、要点で伝えて想像に任せるとか、あとは展開が結構早いところとかも好きで、『こんな独特な漫画、初めて見たな』と思って。あとは単純に男の子がかっこよくて、キュンとして惚れちゃったところもあります(笑)」と、志村作品の魅力を熱く語ります。

さらに上村さんからは、「敷居の住人」を読んで「この人とお仕事をしたい!」と思って志村先生にお声掛けをしたとのお話も。最初に衝撃を受けたシーンもはっきり覚えていて、4巻(新装版だと3巻)で菊池奈々子がミドリちゃんを押し倒して「電気走った?」と言うシーン、とのことでした。



「敷居の住人」 ©Takako Shimura

寺田プロデューサーからも「『敷居の住人』からはとても今っぽさも感じます」というお話があり、続けて「好きなキャラは誰ですか?」と作品ファントークが展開。白石さんは悩みながらも「どの作品でも主人公に気持ちを寄せてしまうところがあるので、ミドリちゃん(本田千暁)ですかね」と答え、上村さんは「私もミドリちゃん大好きなんですけど、菊池奈々子も本当に好きで。志村さんの描く『ちょっと生きづらい感じがあるんだけど、わがままさと健気さを両方持っている』みたいな、そういう女の子がすごく好きですね」と答えていました。ちなみに、寺田プロデューサーは「僕もその二人の組み合わせを推しているんですけど、近藤ゆかも好きですね」とのことでした。

「敷居の住人」 ©Takako Shimura

──「青い花」「おとなになっても」の創作裏話

続けて上村さんが語るのは自身の担当作品であり、TVアニメ化もされた「青い花」について。
『どうにかなる日々』のえっちゃんとあやさんで女性同士の恋愛ものを描かれて、すごく楽しかったという思いが志村さんにあったようで、また女の子同士の話を描いてみたいというその思いが『青い花』の始まりでした。また当時、志村さんと一緒に韓国ホラー映画をよく観ていた影響も少しあって、少女の制服やお嬢様学校などをキャッチーな要素として入れ込んで、女の子の恋愛をしっかり描いてみましょうかという話になりました」と、まずときめくシチュエーションから先に決まったという作品誕生の経緯を明かした上村さん。


「青い花」 ©志村貴子/太田出版

実は主人公のひとりである「あーちゃん」の名前のモデルでもあるそうで、「私の下の名前が晶(あきら)で、実際に『ふみちゃん』という幼なじみがいまして、1話に出てくる子供時代のふみちゃんがお漏らししたエピソードは私の実話です……(笑)。リアルでは『おとなしいあーちゃんと元気なふみちゃん』なんですけど、それだとキャラクターがうまく動かなかったので逆にしましょうと(志村先生に)言われて。それで『おとなしいふみちゃんと元気なあーちゃん』で、お漏らしするのがふみちゃんになりました」と、貴重なエピソードを披露してくれました。


「青い花」 ©志村貴子/太田出版

 

また、最新作「おとなになっても」では大人の女性同士の恋愛が描かれていることにも触れ、「『青い花』は、ほぼ少女時代に絞って描ききった物語だったのですが、少女たちが大人になって社会に出て、仕事とか家族とか結婚とか出産とか……いろんな問題や葛藤が出てきたときに、どういうふうに向き合っていくのか?というところを今度は描こうということで取り組んでいます」と語りました。

「おとなになっても」 ©志村貴子/講談社

──志村貴子作品の魅力的なキャラクターたち

続けて話は志村貴子作品のキャラクターの魅力について進みます。
上村さんに話を聞くと、「志村さんの描くキャラクターは多面的で、わがままだけど健気とか、優しいけれど意地悪な部分もあるとか、いいところと悪いところを両方合わせ持っている。志村さんご自身も繊細なところと思いきりのいいところがあったり、寛容なところとこだわりを持ってらっしゃるところがあったり多面的な魅力のある方だなと思うので、だからこういうふうに人間らしい、生っぽいキャラが作れるのかもしれません」との答えが返ってきました。

それを受けて、「どうにかなる日々」の映画でも変に肉付けするようなことはしないようにしていたと語る寺田プロデューサー。「映像にすると、脚本だったり音楽だったり芝居だったり、いろいろ要素を足していかないといけないんですけど、そこで変にわかりやすくしてしまうと志村先生らしい魅力が消えていく。ただ、何もないと映画としては『これで終わり?』というような感想にもなりかねないとは思っていたので、そのバランスはアニメスタッフと一緒に気を付けていました」と振り返ります。

そこをカバーしてくれたひとつがクリープハイプによる音楽だったとのことで、白石さんが「私的には主題歌『モノマネ』のインパクトがすごく強かったですね。どちらかというと優しい、ゆったりしている感じなのかなと思っていたら、結構激しめだったので」とコメントすると、「今回はしっとり系じゃなくて、ロックで終わりたかったんですね。このキャラクターたちの人生を、ちゃんと肯定してあげたいという意味で」と答え、クリープハイプへのオファーの意図を明かしました。

上村さんが「志村さんも最初に聴いたときから『すごくいい!』と喜んでいて。志村さん自身もロックがお好きなので、その辺のフィーリングもあったのかなと」と言うと、寺田プロデューサーは「たしかに『どうにかなる日々』にもロック精神が感じられますよね」とうなずいていました。

──会場の皆さんへのメッセージ

最後に、会場の方へのメッセージを登壇した3人がそれぞれ、

「この作品が少しでも多くの人に届いて、あまり大げさな感想じゃなくてもいいと思うんですけど、『自分もどうにかなるかも』くらいの気持ちを持ち帰っていただけらうれしいなと思います」(寺田)

「私は最初に劇場でこの映画を見終わったときに、『どうにかなる日々』って本当にいいタイトルだなと改めて感じました。今年はこういう特殊な年で、閉塞感とか不安とか、先の見えなさを感じる大変な状況にあると思うんですけど、その中でこの映画を見られたことはよかったなと……タイトルの言葉が胸に沁みて、たくさんの人に届けられたらなと思いました。皆さんも、お友達におすすめしていただけたらうれしいです」(上村)

「私自身、しんちゃん母役に出会えて、今日ここにいられて、お二人の貴重なお話を聞くことができて、すごく幸せでした。この映画は効果音とかにもこだわっていて、それもとても魅力だと思います。耳がゾクゾクしました。今日は夜遅い時間でしたけど、来ていただいて本当にありがとうございました。楽しかったです!」(白石)

と挨拶して、イベントは締めくくられました。

好評につき、本日12月11日(金)からは早くもデジタルロードショーが始まる本作。
皆さんも年末年始に「かつて一緒にいたけれど、今はもう遠くに行ってしまった誰か」を思い出しながら、原作とアニメを楽しんでみるのはいかがでしょうか。

【デジタルロードショー&ダウンロード販売情報】

【デジタルロードショー】
2020年12月11日(金)より期間限定配信開始
*2021年1月4日(月)デジタルロードショー販売終了予定

<価格>
1,000円+消費税

<配信サイト>
FOD、U-NEXT、dアニメストア、Hulu、TSUTAYA TV、楽天TV、ビデオマーケット、
GYAOストア、DMM.com、music.jp、amazon prime video等、各種配信サービス

<配信ページはこちらから>

【ダウンロード販売】
2020年12月11日(金)より配信開始
*予約は2020年12月4日(金)から受付開始

<価格>
HD 2,500円+消費税
SD 2,000円+消費税

<配信サイト>
iTunes、Google Play、amazon prime videoなど各種配信サービス

<配信ページはこちらから>

※各配信事業者の都合により、配信サービスでの配信日が変更になる場合がございます。ご了承ください。

【コミックス情報】


「どうにかなる日々」(新装版 全2巻) ©志村貴子/太田出版

 


「敷居の住人」(新装版 全6巻) ©Takako Shimura

 

 

「青い花」(全8巻) ©志村貴子/太田出版

「おとなになっても」(既刊3巻©志村貴子/講談社